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2010年12月27日 (月)

戦場カメラマンの『MOTHER TOUCHI』におけるヒューマニズムについて

 テレビで見る「戦場カメラマン・渡部陽一」氏はちょっとヘンなおじさんだが、そんなヘンなおじさんが書いたヘンじゃない本がこれだ。

『MOTHER TOUCH』(渡部陽一著/タツミムック/2011年2月1日(!)刊)

「戦場カメラマン・渡部陽一」氏だが、この本にはいわゆる「戦場写真」や「戦闘場面写真」はない、その写真のずべては、主役は子どもたちであり、子どもを中心とした家族の写真である。つまり、世界のあらゆる戦場でもそのすぐ銃後には子どもたちがおり、子どもたちを中心にした家族がいるということなのである。撮影地はイラク、アフガニスタン、ソマリア、スーダン、パキスタン、ガーナ、レバノン、ユーゴスラビアの各国の様々な銃後。

 渡部氏は「今回の写真集は 戦場に暮らす人々の日常を通して 子どもたちの想い 母の愛 家族の絆を感じる写真を 一冊にまとめました」と冒頭に書き、「戦争で犠牲になるのは 最初も最後も子どもたちである それは 殺されるという意味だけではない 少年兵となって最前線で戦う子どもたち」「戦場に生きる子どもたち 彼らの役割は2つある 1つは”働くこと” そしてもう1つは”学ぶこと”」「戦場に生きる人たちにとって一番大切なもの それは 家族」と中のいくつかのページで書く。

 うーん、なんてヒューマニスティック、なんてダマされてはいけない。彼ら「戦場カメラマン」の本質は「戦闘を見たい」「戦場にいたい」「戦争が好き」なのである。でなかったら、なにもこの平和すぎてもったいないくらいの日本に生まれて、それこそ戦争に巻き込まれたわけではないのに、自ら戦場に赴くのである。つまり、彼らは「戦争が好き」なのであり「戦場の緊張感」が忘れられない、軍事オタクなのである。この渡部陽一氏しかり、長倉洋海氏しかり、不肖・宮嶋茂樹氏しかり、なのである。

 ところが、そんな戦争オタクの彼らが戦場から銃後に戻ってきて、何気なく撮った写真に子どもたちの写真が多いのも事実である。それは多分、子どもたちは写真に写されることが好きであったり、またそんな子どもたちをみていると、戦場の緊張感がフッと癒される気分があるからなのだろう。

 そして同時に、その銃後は最前線からたいして離れている場所ではない。そんな危険な場所にあるごく普通の家族の生活というものに、彼らは興味を持ち、そんな場所で生活する意味を考える。すると、そこに自ずと見えてくるものは、むしろそこが戦場であることが異常な事態であるということなのだ。とくに、最近の戦争に特徴づけられるゲリラ戦では、そんな生活の場そのものが戦場になってしまうのだ。

 ということに気が付いてくると、元々の戦争オタクの魂は、その戦争の裏側にあるものを考え始めるのである。戦争と同時にあるものを考え始めるのである。戦争が無理やり壊してしまったものを考え始めるのである。

 戦争とは破壊である。それは家族の生活とは対極にあるものだ。平和こそが、家族の生活と共存しなければならない。

 そんなことに気付いたときに、戦場カメラマンはヒューマニストになる。戦場カメラマンの写真集がヒューマニズムに溢れたものになるとき、戦場カメラマンは「戦場写真」だけではない、普通の写真家になるのだ。「在戦場」はなにも本当の戦場にいるときだけの言葉ではない。カメラマンがいる場所、それが「常に在戦場」なのである。

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