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« 戦場カメラマンの『MOTHER TOUCHI』におけるヒューマニズムについて | トップページ | 『電子マネー革命』ったって、革命そのものが必要なんだ »

2010年12月28日 (火)

『日本は世界第5位の農業大国』を読んでちゃんと対応すれば、これは革命だ。が、そうはならないんだよね。

 まあ、読む前から分かっていたんだよな。要は「農水省の省益」と「天下り先の確保」でしょ、ってなわけで。

『日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率』(浅川芳裕著/講談社+α新書/2010年2月20日刊)

 11月ごろの朝日新聞に「農地の貸しはがし」の記事が載っていた。当時、管首相がTPP交渉に臨み、日本もそのような関税障壁を一掃しようという、それはそれでとてもよい考え方なんだけど、一方で米作農家に対して「関税撤廃の見返りとして戸別所得補償制度を適用する」という話が出た。その結果、それまで他の仕事をしながら、自分の農地はほんのわずかに自分で消費するだけしか生産せずに、大半の後を大規模農家に貸していた「疑似農家」という連中が、「これなら地代収入よりいい」とばかりに、大規模農家に貸していた農地を返してもらい、そこで貧しい米作を行おうという発想で「農地の貸しはがし」が行われているという記事である。

 所詮、そこにあるのは自民党時代と同じ発想の「農家には金を渡しとけば票は集まる」という発想でしかない。

 そもそも、現在の農政とは農水省の省益(如何にしてわが省に予算を分捕るか)と、農水省幹部連中の天下り先確保(農協とか)という二点でしかない。そこには農家のことを考えて、なおかつ日本の農業をどうしようか、日本の農業に対して国際競争力を如何にしてつけるか、という視点なんかどこにもないのだ。

 要は、農水省の考え方がどうにもドメスティックでしかないのだ。この辺は、総務省(旧郵政省)の考え方がやはりドメスティックでしかなく、その結果、かの有名な(?)ガラパゴス携帯の蔓延となったこととまったく同じであり、ようは世界標準にはまったくなっていないということなのだ。

 浅川氏の論点も、まったくそこにあり、要は日本の農業をいかにして世界標準に持っていこうかということなのである。また、日本の農家は、そんなに憐みをもって見られる存在じゃないし、国から保障をもらわれなければ餓死してしまうような存在でもないということなのであり、もっともっと世界に打って出ていけるような力強い存在なのであり、そのためには日本の農家もそれこそ株式会社化して大規模農業を実現させなければいけない、ということなのである。

 そのためには、農水省の「省益」、農水省の労働組合である全農林の利権、本書では少し書き方が足りなかったが「農協」の利権とそこに対する農水省の天下り利権、こういったものをなくせばいいのだ。

 いまや日本は「農業国」ではない、農業人口減というのは、日本が『工業化による経済発展にともない、日本が人口の多くを農民が占める生活水準の低い途上国から、少数精鋭の農業者が食を担える先進国に成長したことを示している』にすぎないのだし、その結果『国が自給率を追求することで、国産に過剰な信仰が生まれ、本当に必要な農業改革から目をそらすことにつながる』のである。いまや、「自給率」にこだわるよりも、輸出・輸入を盛んにすることで、他国との関係を深めることこそ「食糧安全保障」になるという、発想の転換が必要なのだ。

 面白い記事がある『高齢の農業者の大半は事業者として生産活動をしているわけではなく、農業という暮らし方を楽しんでいる人々(疑似農家)である~彼らは三つのタイプに分類できる。一つ目は、農業出身のサラリーマンや公務員たちだ。彼らは定年前から週末の農作業を楽しんできた兼業農家で、定年後も退職金をもらって悠々自適に農業を続けている。この層が約七割を占める。~二つ目は、農業出身のサラリーマンや公務員だが、在職中は農業をやっておらず、定年後に実家で趣味の園芸を始めた層だ。この層が約一割を占める。~残りの二割は農業を主業としてやってきた人たちだ。農業の収入は赤字でも、多くは年金と子供からの仕送りで農業を続けている。もしくは、息子が農業を継いで頑張っていて、高齢の両親は手伝っている程度だとしても、統計上は六五歳以上の農業者として登録されているのである』ということである。これが、「いまや農業従事者は年寄りばっかり」という実態なのである。

 むしろ、我々が見なければならないのは『農業八兆円産業のうち、自律志向の農家がすでに五兆円以上を産出している』という事実であろう。そうした、自律志向の農家は、それこそ疑似農家から土地を借りて大規模農場を経営し、海外輸出・海外進出にも積極的で、それこそ株式会社化(今はできない)して農業経営を行っているのだ。

 もはや、我が国の向かっていく先は、「すべての商材についての関税障壁撤廃」であり、「官僚の省益・天下り先の撤廃」でしかないのだ。

 しかし、そんな政治は今の民主党のトロイカ(菅・仙谷・小沢)には望むべくもないんだろうな。といって、自民党なんてもっと官僚ズブズブだったしな。ただし、右から左まで包囲する自民党である。だれかそんな官僚政治を断ち切る人が出てくるといいのだが・・・。でも無理か。

 あとは、民主党の若手で官僚の息のかかっていない連中に期待しますか。あと、何年かかるのだろうね。民主党もいまどき民間企業ではお目にかかれない「年功序列」みたいだし。

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