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2010年11月 5日 (金)

121人の三島由紀夫論なのだが

『昭和45年11月25日 三島由紀夫自決、日本が受けた衝撃』(中川右介著/幻冬舎新書/2010年9月30日刊)

『一九七〇年=昭和四十五年は、昭和のオールスターが揃っていた年だ。

 昭和天皇はまだまだ元気だったし、内閣総理大臣は最長在任記録を持つ佐藤栄作、自民党幹事長は田中角栄、防衛庁長官は中曽根康弘、警察庁長官は後藤田正晴だった。最強の布陣ではないか。

 文学界も芸能界も、老壮青それぞれの世代にスターがいた。さらにその下にやがて芽を出す無名の青少年たちもいた。

 そのなかで、最前線にして最高位にある人が、突然、死んだ。』

 という書き出しで始まる本書だが、要は121人の人の1970年11月25日の過ごし方を記した本である。しかし、そこで121人の人の三島由紀夫論がみえてくるかといえば、そうでもない。そこに見えるのは「三島由紀夫を自分の距離」であるだろう。当然、そこには三島とおのれのスタンスの違いや、文学論の違い、政治論の違いがあって当然である。

 特に違和感のあるのは「政治論」であろう。市ヶ谷駐屯地という「一基地」に突入し、そこの総監を捕まえて、隊員に決起(クーデター)を呼びかけたとはいえ、そんなものは自衛隊員全員に呼びかけたものではない。また、三島がその数年前から自衛隊に体験入隊し、盾の会会員もそれに同行したとしても、それがなんだというのであろう。所詮それらは頭デッカチの作家と学生の間の「お遊び」にすぎなかったのだ。三島の体験入隊時代に、あるいは三島と同時に体験入隊した盾の会会員の入隊時代に、少なくとも何人の自衛隊員に対してオルグをしたのだろうか。そうした基本的なこともせずに駐屯地に突入してそこで演説をしたって、それはヤジで消されてしまうほどの演説にすぎない。レーニンやトロツキーのサンクト・ペテルスブルグの演説のようにはいかないのである。

 結局、三島の行動、突入、演説、自決は、文学論上の物語になってしまった。しかし、そんな「文学上の物語」に同道させられてしまった森田必勝らの立場はどうなのだろうか、彼らは三島文学の従道者にすぎないのか。そこまで彼らは三島文学に殉じていたのか。そんなことはないだろう。そんな文学青年ばかりが盾の会会員であったという話は聞かない。むしろ、三島文学にはあまり付き合っていなかった青年たちが盾の会に入っていたように聞く。要は「右翼はカッコイイ」という感覚の人たちだ。

 それはその数年前までの「左翼はカッコイイ」の反対面での反応にすぎないのだけれども。でも、確かにあった現象でもある。その流れが今でも見沢地廉や鈴木邦男なんかのファンにつながっているのだろうけれども。

 今や右翼も左翼もよくわからない時代である。雨宮処凛なんて右翼なのか左翼なのか分からない状況になっている。要は、体制側に与するのか、反体制側に与するのかということであり、その際に右側(資本主義政治)にいくのか、左側(社会主義政治)にいくのかとのちがいでしかない。

 この時代と、今の時代の違いを言うならばまさに『いまの時代とは異質の熱さ――それはデララメさでもあり、なんでも許される大らかさでもある――を感じとり、そこに面白さを予感してくれてからであろうと、勝手に解釈している』という筆者のあとがきにもある通り、そんな時代の様相なのであろうな、ということである。

 今更、三島由紀夫の本を読んで「決起」にはやる大学生はいないのであろう。というか、『「三島由紀夫」って、昔教科書で読んだけど、何か・・・、』という状況ではある。う~ん、もう自決してから40年も過ぎてるからなあ。

 もはや「三島自決事件」も歴史上のヒトコマになってしまったのか。

 

 

 

 

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