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2010年9月26日 (日)

荒井晴彦氏vs絲山秋子氏裁判その後

 9月11日の当ブログで書いた、シナリオ作家荒井晴彦氏と作家絲山秋子氏の裁判についての報告と、判決文全文が社団法人シナリオ作家協会のホームページに掲載されていたので、その報告です。

 前回の報告で「原告らの請求をいずれも棄却。訴訟費用は原告らの負担」と書いた主文はその通りなのだが、どうも良くわからない。

 つまり『要するに、被告(絲山秋子氏)は、本件映画(「やわらかい生活」)のクランク・イン直前に、本件脚本による映画化の許諾に係る最終決断を求められたことから、多数の関係者に大きな混乱を生じさせることを回避するために、不承不承ながらこれを許諾したというものであって、本件脚本の内容に全面的に承服した結果では』なく、『本件脚本が原作(「イッツ・オンリー・トーク」)の趣旨を逸脱するものであり、原作者である被告の意に沿わないもので』あるから、本件映画のDVD化やテレビ放送と、脚本の出版とは違うのだというのが判決の主旨である。

 つまり、脚本の出版と、映画のDVD化、テレビ放送とは同じ二次利用ではないということだ。これは、DVD化、テレビ放送、海外販売と脚本の出版は同じ二次利用であるとし、一般的な社会慣行並びに商習慣に反する許諾拒否はおこなわないとした原作使用契約に反するという原告(社団法人シナリオ作家協会と荒井晴彦氏)の提訴主旨を真正面から否定するものであり、当然、原告は控訴することになった。

 この判決にはふたつのおかしな部分がある。ひとつは、脚本が原作者にとって気に入らないものだったのなら、そこは断固として映画化を許諾してはならないものを、「不承不承ながらこれを許諾した」というところに論点をおいている部分だ。それが「不承不承ながら」だろうが「嬉々として」だろうが許諾は許諾であり、そこに違いはないというのが契約の主旨であり、そこに違いを認めてしまうと契約の解釈に契約当事者双方の考え方の違いがあってもよい、という曖昧さを残すことになってしまう。契約はもっと厳格でなくてはならないのだ。そこに違いを認めると言うのは判決文として極めて不適切であろう。

 もうひとつは、こうなると「原作者の意に沿わない」脚本は書いてはいけない、という意味のことを判決文で書いているということだ。こうなると「共同著作者」たる脚本家の立場はどうなるのであろうか。結局は原作者より一段低い立場に脚本家は置かれるということになるだろう。そうでなくとも「許諾するかしないか」は原作者のみに許される権限なのだから、それだけで原作者の方が一段高いところにいるわけだ。これは原著作者であるのだから当然であるとしても、それ以外では原作者も脚本家も同じ著作者として同列にいるものとして、お互いを尊重する必要があるはずだ。これも、契約当事者は対等であるべきという契約の主旨を認めない、極めて不適切な判決であるということになる。

 勿論、契約当事者は文藝春秋(絲山氏の代理人)とステューディオスリー(映画の制作会社)であるので、絲山氏が本件許諾に関係ないという文藝春秋の主張を退けた、絲山氏も荒井氏もこの場合の契約当事者とみなしてもよいという部分は評価できるが、それ以外ではかなり問題を残しそうな判決である。

 当然、控訴審では上記の部分が争点になって戦われることになるのだろう。また、楽しみが増えた。

社団法人シナリオ作家協会のHPはこちら http://www.scenario.or.jp/teiso.htm

判決文はこちら http://www.scenario.or.jp/hanketsu.pdf

原告側弁護士の柳原敏夫氏のHPはこちら http://song-deborah.com/copycase5/

絲山秋子氏のHPはこちら http://www.akiko-itoyama.com/ ただし、裁判のことにはまったく触れてません 

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