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2010年9月30日 (木)

結局、日本の対外思想ってものは「攘夷」なのか

 坂本龍馬が攘夷派であったことはよく知っている。もともと土佐勤王党の武市瑞山との仲は有名だし、龍馬自身も土佐勤王党に所属していた時期もある。ただし勝海舟のような開明派との関係になるとよくわからない。つまり、私のこれまでの認識では「勝海舟=開明派=開港派」だと思っていたのだが、どうもそれは違うようだ。

『攘夷の幕末史』(町田明広著/講談社現代新書/2010年9月20日刊)

 つまり、勝海舟であっても攘夷派であることは変わらず、ただしそれは「大攘夷」の立場であったということだ。「大攘夷」がある以上は「小攘夷」があるわけで、その違いは、要は政治の中枢にいるかいないかという違いではないのではないだろか。江戸幕府はリアリズムであるから、砲艦外交による不平等条約であっても取り敢えずそれを締結することで日本を開国し、貿易によって日本を富ませてその結果、力をつけた軍隊によって対外交渉を今度は逆に日本が有利になる様に持って行き、結果として夷敵を撃つという長期戦による「大攘夷」。反政府派の長門(と、それに担がれた朝廷)はロマンチシズムなのだろうか、取り敢えず目の前の外国を討つべしという短期決戦による「小攘夷」というわけだ。

 なんか、これって最近の「尖閣諸島における中国漁船問題」における、政府=民主党主流とそれ以外の勢力との対立と同じような構造のようですね。民主党主流は為政者だからリアリズム、とにかく「粛々と国内法に則って処理」とかなんとかいって、結局は政治的な問題を考慮して船長を釈放したわけだ。

 反政府の民主党右派(って、そんなのあるのか? 尖閣諸島に自衛隊基地をおけなんて言ってる連中)とか、自民党右派、みんなの党、たちあがれ日本なんかは「政府の弱腰外交、これじゃあ中国から次にはもっと図々しい要求が出てくるぞ」という批判。ネットでも菅、仙谷なんて「売国奴」ですからね。

 まあ、日本という国はこうして昔から「大攘夷」「小攘夷」、「粛々」「弱腰」という対立軸でもって動いてきたのでしょう。そしてこれからも多分。

 で、幕末は結局「大攘夷」である江戸幕府の考え方が勝利し、条約は批准されたし、開港もされた。しかし、その結果、逆に外国との貿易で力をつけた薩摩と、その薩摩に推された長州によって幕府は倒されてしまう。これをして「歴史の矛盾」というものかどうか、その薩摩も明治維新政府に対し西南戦争を仕掛けて負けてしまう。結局、小攘夷派の急先鋒であった長門がその後の明治政府から大正、昭和、平成までの長きにわたって日本を征服するのであった。

 その意味で、明治維新を「革命」というのなら、2009年の衆議院選挙も革命と言えるのではないだろうか。つまり「紀伊・尾張・水戸」の時代から「長州」に変わったのが明治革命、であるならばその後の長きにわたった長州の時代から変わったのが「周防」の菅政権である。まあ、長門のすぐ隣で長門の属藩だったのではあるけれどもね。おまけに菅は自らを「奇兵隊」と称しているのだから、まあその歴史認識にはちょっと疑問を投げかけるしかないのだが。

 いずれにせよ、『明治国家は、廃藩置県・地租改正・四民平等・徴兵制度等の近代的施策を実施し、富国強兵・殖産興業に尽力し、わずか維新後二十数年で、東アジア唯一の先進国家に登り詰めた。そして、日清・日露戦争を経て、明治四十三年(1910)の日韓併合により、天皇に対する「朝貢国」を獲得した。幕末の攘夷は、維新後四十数年を経て成し遂げられたことになる』ということである。つまり、「攘夷論」とともにつねに出てきていた「征韓論」がやっとこの時点で完成したということなのだろう。

 さらに『東アジア唯一の帝国主義国家となって、列強の仲間入りを果たした日本のつぎなる野望は、清をはじめとする東アジア、さらには東南アジア諸国を朝貢国とすることにあった。つまり、「東夷の小帝国」から「東亜の大帝国」への脱却こそ。最終ゴールたり得たのである』ということである。

 結局、第二次世界大戦における小さな勝利と大きな敗北というのも、こうした江戸末期の「攘夷論」の行き着く先であったということなのである。うーむ、「攘夷」という部分からみた歴史というのも、なかなか奥が深いものだ。

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