フォト
無料ブログはココログ

Amazonウィジェット

  • Amazonおまかせリンク
  • おすすめウィジェット
  • Kindle

« みんな貧乏だった時代の話は、逆に豊かな時代を表している | トップページ | 元々、外国人が支配してきた日本なのだから、いまさら外国人排除をする意味はない »

2010年8月18日 (水)

スパイはスパイをスパイする、ということ。これは永遠連鎖なのだ。

 戦争中(実は今も?)の日本の情報管理が如何に杜撰だったかという証拠のような本である。まあ、ミッドウェイ海戦でも日本の計画がアメリカに筒抜けだったということはよく言われているが、こうしてソ連にも筒抜けだったのだなあ。
『スターリンの対日工作』(三宅正樹著/平凡社新書/2010年8月10日刊)


 ちょっと本書の主題とは関係ないところで面白いことをいくつか見つけたので、それから書く。
 第二次大戦中のスパイ事件として、篠田正浩が映画化したことでも有名な「ゾルゲ事件」だが、当のゾルゲがコミンテルンからソビエト連邦赤軍に所属替えを自ら申し出て、事実そうなったのだということ。私は<コミンテルン=ソ連共産党=スターリン>という一枚岩という関係にあったのかと思っていたのだが、実は1930年頃は<コミンテルン=世界革命の為の組織><ソ連共産党=一国社会主義=スターリン>という関係で、まだ当時のコミンテルンは世界革命を目指していたと言うことだ。なるほど、1929年にソ連を追放されたトロツキーも第四インターを設立したのは1938年のことだ。まあ、ようやくメキシコに落ち着いたので第四インターを設立したわけなので、それまでのコミンテルンの変節がなかったわけではないのだが・・・。トロツキーがクリヴィツキーというソ連のスパイがアメリカに亡命して出した声明を元にスターリンを告発する宣言を出したということも書かれているが、まあ、それはどうでもよいだろう。たまたま、それはスターリンだったからトロツキーは批判の材料としたにすぎない。多分、トロツキーがソ連の指導者になっていたら、同じことをしたにすぎないのだ。いや、もっと徹底的にやったかもしれない。分派主義者としてのトロツキー主義者は、日本の<反帝反スタ>諸党派の<内ゲバ>みたいなもので、こうしたスパイ活動はスターリン主義者以上にもっとやっただろう。
 もうひとつ、<日独防共協定>なのだが、当然それは<対ソ連>に向けた条約ではあるのだが、それが成立するまでの状況ではとりあえず<反コミンテルン協定>だったということだ。つまり<国際共産主義がアメリカ国内の諸問題に介入していることに抗議したアメリカ国務省に対して、ソ連の外務人民委員が、ソ連政府はコミンテルンとは無関係と言明したことがヒントになって、「アンティ・コミンテルン協定」という名称を、誕生しようとしている日独協定にかぶせようとしたのである>(p122)。ここにも、<ソ連共産党とコミンテルンは別>という発想が見られる。
 つまり、当時のソビエト連邦共産主義はまだまだ脆弱な状況であり、ソ連一国を維持するのに精一杯であり、世界革命を領導するような強大な力は持っていなかったということなのであろう。だからこその<ソ連共産党とコミンテルンは別>という発想になるのであろう。ここがトロツキー=革命家とスターリン=政治家の違いである。トロツキーは、その結果、ソビエト連邦(という「国」)が潰れてもいいじゃないか、問題は世界革命が実現の方向に進むかどうかなのであり、スターリンは政治家として<国を守るためにはどうしたらよいのか>を考えた。

 そこで本題に戻る。要は、日本はソ連に丸裸にされていたということである。当然、それはアメリカにも丸裸であろう。さらに。ソ連はゾルゲだけではなく、「エコノミスト」とか「フォマ」とか「サトウ」とかいう日本人スパイからの情報を受けて、それらを参考にして対日政策を考えていたということである。ゾルゲの言う「日本は対ソ参戦はない」という報告だけではなく、他の人間からの報告も受けた結果として、政策を決めていた。所詮、スパイはスパイである。そんな人間は本国では信じていないのである。スパイが逆スパイである可能性もあるし、情報が間違っていることも大いにあるのである。本国(とその首脳は)スパイの情報をいくつも携えて、その結果として総合的に判断をする。多分、これで間違いがないなという結論に至るまでには、いくつもの情報が必要だ。ひとりのスパイの情報はその一つの要素にすぎない。それが、情報戦というものであろう。
 防諜戦、諜報戦、情報戦というものが決して表に出ない部分で戦われている戦争であるということは、現代でもそれが行われている可能性が高いということである。それも、警察、内務省、自衛隊(軍隊)でそれぞれ勝手にやっているのであろう。要は、他の情報は信じないというのが基本であるからだ。
 相変わらず、日本は丸裸なのだろうか? あるいはすごい諜報組織をもっているのだろうか? 少なくとも、佐藤優氏の本から見ると、完全に前者だ。
 まあ、国というものがある以上、こうした防諜・諜報・情報戦があるのだろう。当然、国がなくても、組織(会社でもいい、公的団体でもいい)があるところではこうした情報戦はあるのである。
 
 もう、それは仕方のないことなのかも知れない。要は、人は人を信じていない、ということなのだからな。

« みんな貧乏だった時代の話は、逆に豊かな時代を表している | トップページ | 元々、外国人が支配してきた日本なのだから、いまさら外国人排除をする意味はない »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/549500/49182407

この記事へのトラックバック一覧です: スパイはスパイをスパイする、ということ。これは永遠連鎖なのだ。:

« みんな貧乏だった時代の話は、逆に豊かな時代を表している | トップページ | 元々、外国人が支配してきた日本なのだから、いまさら外国人排除をする意味はない »

2017年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

PEN PEN チョートクカメラ日記

自転車フォトグラファー 砂田弓弦

シュクレはお留守番

アローカメラ&我楽多屋

まだ東京で消耗してるの?