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2010年8月 5日 (木)

元気なり若松孝二

 本当は『リストラなう』は今日の記事の予定だったのだが、記事のアップ設定を間違えてしまって、昨日の記事になってしまった。従って、昨日は記事が二本になってしまった。夏の特別セールみたいなもんで、まあいいか。

 と言うことで本日は

『若松孝二全発言』(若松孝二著/平沢剛編/河出書房新社/2010年7月20日刊)

 この時期の出版というのは、ベリリン国際映画祭で寺島しのぶが主演女優賞を獲った、映画『キャタピラー』(2010年8月14日公開予定http://www.wakamatsukoji.org/)の宣伝という意味もあるのだろう。そういえば、若松孝二とベルリン国際映画祭と言えば1965年『壁の中の秘事』の国辱映画事件以来いろいろいわくがあり、しかし、2008年には『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』が最優秀アジア映画賞、国際芸術映画評論賞を授賞するなど、北野武とカンヌ映画祭のような「いい関係」があるのだ。もっとも、北野とカンヌの方は北野がカンヌに出したいという方向性で動いており、ベルリンの若松とは別のベクトルで動いたのだけど。つまり、1965年、日本映画連盟は大映作品「兵隊やくざ」他1作をベルリンのコンペティション部門への出品作として送ったのだけれども、二作とも落選し、映画祭のオルガナイザー側から『壁の中の秘事』を出品するように動いたのだ。若松プロダクションは映連メンバーではないし、映連はこのセレクションに抗議したのだが、オルガナイザーはそれを認めず、コンペに出してしまったのだ。それに対して、映連や新聞が「国辱」であると騒ぎ立てた、というのが真相。

 ちなみにこの年のベルリン国際映画祭金熊賞(グランプリに相当する)はジャン=リュック・ゴダールの『アルファビル』であった。これはこれで『壁の中の秘事』と好対象の映画であると私なんかは思うのだろうが、どうだろうか。

 確かに、ベルリン映画祭の場合はオルガナイザーが出品作を選ぶようなシステムになっており、オルガナイザーのセレクション・ディレクターが世界中を回って作品を見て、出品作を選ぶようになっている。これは、『アキラ』がベルリン映画祭のヤングフォーラムに選ばれたときもそうだった。

 本の内容は、それこそ1965年の国辱映画事件から2010年の『キャタピラー』まで、いろいろのメディアでの若松氏の発言をまとめたものだ。

 しかしまあ、若松氏も若かったのかも知れないが、様々なメディアで国家権力に楯突くこと、楯突くこと。それを読むと60年代から70年代の「政治の季節」が思い出され、まるでアジビラのような映画評論を書いていた私の若い時代が思い出される。当初、「ピンク映画」と言う形で国家権力と対峙していた若松プロダクションは、足立正生氏の加入の頃から政治性を帯びだして、「性と政治」が若松プロの二大テーマになっていった。それは1971年の「赤軍-PFLP・世界戦争宣言」の発表とその上映隊=赤バス上映隊でピークに達した。

 勿論、当時(60年代後半の時期)はすべてが「政治」とのかかわりでとらえられていた時代である。まさに「性も性事」もの時代である。その当時、まさに「性と性事(政治)」を真正面から捉えていた若松プロは、日本映画戦線の最フォワードにいたということである。

 しかし、その頃から若松氏の筆致は穏やかなものになってくる。勿論、筆致が穏やかだからといって書かれている内容まで穏やかになってしまっているわけではない。国家権力への攻撃性は損なわれていないが、書き方が穏やかになってきているのである。まあ、内容は過激な分、書き方は穏やかなほうが戦略的には上であり、敵に対するダメージは大きい。若松氏が大人になったのか、あるいはしたたかになったのか。

 ところが、映画雑誌やパンフレットなどへの文章は私も当時見慣れていたはずなのだが、『河北新報』紙に書いた文章は今回の出版ではじめて読んだ。それを読むと、ますます穏やかな若松氏の文章に接することになる。母親のことを書いた文章なので穏やかにならざるをえなかったのか、あるいは乱暴息子も田舎に帰るとおとなしくなるのと同じように、穏やかにならざるを得ないのか。

 そこには新宿の酒場で見かけた若松氏がいる。

 この辺が面白い。

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