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2010年8月12日 (木)

『電子書籍の真実』は地に足のついた「電子書籍本」だ

 実務者が書いただけあって、かなり地に足のついた「電子書籍論議」の本が出た。

『電子書籍の真実』(村瀬拓男著/マイコミ新書/2010年7月31日刊)である。

 著者の村瀬氏は新潮社の雑誌編集者から、アニメ『火垂るの墓』の製作やCD-ROMとして出版された初期の電子出版物を編集を経て、2006年に弁護士となり、新潮社他の担当弁護士として活動している人だ。したがって、多くの「電子書籍本」がライターや編集者によって書かれているが、それとは少し違った観点の実務者による書かれ方がされている。

 例えば、日本の出版界では契約書の不存在ということがよく言われているが、その理由として『原稿が上がらないために出版できなくなったとしても、その責任を出版社が著者に追及したということはまずないでしょう。損害賠償などの責任追及を行なわないならば、書面としての契約書を作る意味もそれほど大きくありませんし、出版されてしまえば、契約書作成作業はどうしても形式的な作業となってしまいます』として、それは決して良く言われるような出版社や著者の怠慢ではないということ。また、20年ほど前に論議されていた出版社が主張した著作隣接権としての「版面権」というものも結局認められなかったが、それはコピー機業界の不利益と考えた経団連の反対によるものだったが、その際に「電子出版」について既に触れられていたということ。などなど、当事者として立ち会っていた村瀬氏ならではの物の見方があって、昨日今日の「電子出版論議」に惑わされているライター諸氏とは少し違う。

 それもあるが、面白かったのは書協のデータベース「データベース日本書籍総目録」(2009年5月時点)の資料で、その当時の登録件数は136万5252点であり、そのうち「入手可能」が82万6465点、「品切れ・重版未定」が43万9687点、「絶版」が9万9100点であるということ。つまり、絶版の約10万点は「青空文庫」などで読めるが、問題の約44万点の「品切れ・重版未定」という出版社の勝手な(とも言えないのだが)都合で世の中に存在していない本が、電子出版によって生き返る、というか実質出版契約違反で「殆ど死んだ状態になっている本」が電子出版によって生き返ることになる「電子書籍ブーム」は結構なことだ。

 いずれにせよ、この「電子書籍の世界」の中では出版社も変化をせざるを得ない。つまり、村瀬氏が書くように『このような状況の中では、出版社および出版界は利益構造を組み換える必要に迫られています。ライセンス収入の範囲内で事業が継続できるように規模を縮小していくのか、交渉力を持ちライセンス料率の拡大を図るのか、配信事業者の領域に進出し、全体としての売上拡大の効果を享受できるようにするのか』といういくつかの選択がある。ともあれ、そうした状況になっても「表現したい」衝動を持っている若者がいる以上、出版界に人材はいるだろう。

 勿論、「紙の本」を作りたいばかりの人じゃなくなってくるだろうしね。

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