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2010年8月20日 (金)

『イルカと泳ぎ、イルカを食べる』はニュートラルな「イルカ」本だ

 またまた「イルカ」本である。しかし、以前紹介した関口雄祐氏の『イルカを食べちゃダメですか? 科学者の追い込み漁体験記』にしても、本書にしても、その扱いは冷静であり、ニュートラルである。その冷静さに、安心して読める。

『イルカと泳ぎ、イルカを食べる』(川端裕人/ちくま文庫/2010年8月10日刊)

『ぼくは野生のイルカと泳いだこともあれば、ドルフィンウォッチのたぐいも大好きだ。生きている時の彼らの魅力を充分知っていると思う。それなのに、イルカの肉を食べることにまったく抵抗がない。こういったことはなかなか「ドルフィンスイム系」の人たちには理解してもらえないのだが、イルカ肉を食べる地域で、地元のやり方でイルカ肉を食べることは、むしろ積極的にしてみたいと思う』(p235)という川端氏である。イルカを保護すべきという人たちにも、イルカ漁は生活の為にも必要だ(「伝統だ」とか「文化だ」ということについては若干疑問があるようだ、これにつては後述)という人たちにも双方にコミットする。

 こうした川端氏だからこその視点が、『多様なやり方の中から自分たちなりの方法を試行錯誤して勝ち取るのだから、「自然とつきあうやり方」は、時として人間の生き方や地域社会のアイデンティティの中核をなすことさえある。それを「伝統」や「文化」と呼ぶこともあるだろう』(p35)ということを肯定しても、しかし、岩手県大槌町のイルカ漁の実際を見た際に、金になる「肉」部分は地元で消費せずにほとんどがよその場所へ出荷されるということ、地元では安くて売り物にならない「内臓」を消費していることを見た時に『もしもこのイルカ漁のことを伝統漁業というなら、「伝統的商業イルカ漁」なのだ。お金になるからやっているだけあって、イルカではなくオットセイでもよかった話なのだ』(p229)として、イルカ漁を「伝統」とか「文化」という言葉で飾ることをやめる。

 しかし、こうしたことは別にイルカだけでなくとも、たとえば牛だって、お金になる「肉」部分はよそで食べられるために出荷され、地元の人は「内臓」を食べていたと言われる。それが、いわゆる「ホルモン」とか「モツ」といわれるものだ。それが意外にうまいということに気がついて、一般に流通しだしただけのことであって、基本的に「地元食」なんてそんなものかもしれない。江戸時代に脚気がはやった際にも、田舎ではまったくそんなことがなかった、というのも、田舎では米だけでなく雑穀を一緒に摂っていたからであり、それは米は「商売用」としてほとんど出荷してしまい、農家は雑穀が食のメインであったことによるものだ。まあ、生産の地元なんてものは基本的にそういうものなのだろう。

 こうした、川端氏の理解するところによれば、要は、イルカのように「養殖」ができなくて自然繁殖に頼るしかない漁業では、如何にしてその自然繁殖の成長率以下に漁獲量を抑えるかというのが重要なのに、『そりゃあね、漁師というのは、海からもってきたものは全部水揚げしようっていう発想なんだよ』(p252)ということでもあるように、基本的に漁師というものは「海にあるものは無限」という発想なのであろう。それが「乱獲」という現象を生み、気がついたときには自らの生活の糧である「魚あるいはイルカ」がいなくなってしまっている、ということなのだ。

 問題は、「イルカが知能が高いから殺しちゃいけない」のではなくて「自然繁殖しかできないからそれ以上に殺してはいけない」のではないか。人間というものは自分勝手な生き物だ。牧場で「可愛い牛」を見ながら「ステーキ」を食べている生き物である。生きている子豚を見て「可愛い」なんて言っている人が、次の日には「豚カツ」を食べているのである。

 この因果な生き物である人間が、どうしたらマトモな生き物になるというのであろうか・・・。多分、そういう日はこないだろう。今後も、人間は他の生き物に自らを重ねて、バカな戦いを続けていくのであろう。

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