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2010年7月12日 (月)

『私にはもう出版社はいらない』という人がいるんだな、納得

『私にはもう出版社はいらない』(アロン・シェパード著/平林祥訳/WAVE出版/2010年6月24日刊)

http://www.amazon.co.jp/dp/4872904826/

 なかなか刺激的なタイトルだし、ジャーナリストの佐々木俊尚氏が特別寄稿して「これは非常に恐ろしい本である」なんて書いてあるので、思わず書店で手にしてしまった。

 しかし、読んでみるとそんなに刺激的な本であるというよりは、むしろ、個人出版で売れる本を作るのは如何に大変か、ということがよくわかる本である。なにしろ、一人で編集者の手を借りずに本を企画して書き、一人でブックデザイナーや業務担当者の手を借りずに本を作り、一人で宣伝担当者の手を借りずに本を宣伝し、一人で営業マンの手を借りずに本を売るためには何をすればよいのか、というのである。こうした、本来ならば「ものを書く」ということだけに集中していればよいライターが、個人出版では出版にまつわる全てのことをやらなくてはならないのだ。そして、そのすべてのことを自分でやったのが、本書の著者、アロン・シェパード氏なのである。だから、シェパード氏だからこそ「もう出版社はいらない」のであって、そのほかの大半のライター(作家)にとっては、まだまだ出版社は必要なんだなということがよくわかる、ということにもなるのだ。

 じつは本書の原題は"Aiming at Amazon"(アマゾンを目指して)という分かり易いタイトルであって、要は、アマゾンで本を売る方法について書かれた本だ。元々、Amazon.comで検索してみるとは"Publisher : Shepard Publications"となっていて、本書自身がシェパード氏の個人出版でアマゾンから売られているのだ。シェパード氏が自身書いた通りの方法で、企画し、書き、ブックデザインをし、本作りをし、宣伝をし、シェパード氏自身が販売をしているわけだ。

 ただし、日本ではWAVE出版というプロの出版社が出版し、サブタイトルも上記の邦題と共に「キンドル・POD・セルフパブリッシングでベストセラーを作る方法」となっている。しかし、「キンドル」は電子書籍を販売し購読するためのツールなので、「POD=オンデマンド印刷=個人出版物」を売るためのメディアではないからちょっと違うんじゃないかと思うのだが、まあ、「アマゾン」というのをわかりやすくしたのかな、ということでこれについては言及しない。なおかつ、何故プロのWAVE出版が出版するのか、ということも言及しない。プロの存在を認めなくなることも、プロとしては商売にしてしまう、という商魂たくましさというものを、今示さなければというプロ魂に目覚めたのかもしれない。

 ついでに、原作の書き出しは次の通りだ。

 Yes, I said it : Forget bookstores.

「もう、本屋のことは忘れようぜ」という書き出しで始まるのだが、これなら充分刺激的である。

 で、本の内容とそれぞれに割り当てられたスペースをズラッと並べると以下の通りとなる。

第1章「アマゾンでセルフパブリシング事始」 18ページ

第2章「アマゾンで売れる本を作るには」 36ページ

第3章「アマゾンにアクセスする」 9ページ

第4章「アマゾンでのマーケティング」 53ページ

第5章「アマゾンをモニターするには」 27ページ

第6章「アマゾンで買ってもらうには」 10ページ

第7章「アマゾン向けの改訂」 8ページ

第8章「アマゾンで世界を目指す」 21ページ

 つまり、全182ページの中で、第4章、第6章、第8章の合計84ページが「どうやって売るのか」ということに割かれているのだ。勿論、第2章にも「第三者に意見をもらう」といったような「出来れば編集者がいればいいな」的なことも書いてあるのだが、しかし、ほとんどが「如何にすれば売れるのか」という記述に殆どを割いているというのが象徴的である。

 つまり、如何に良い本、売れそうな本を書いたところで、その存在をどうやって読者に伝えるのか、その本が読者にとって如何に面白いか、読者にとって如何に有益かなどを伝えなければ、それは本を書いたことにならない、本を出版したことにならない、ということなのである。さすがに、これまで何度かオンデマンド出版で自費出版をし、いくつかの成功例を作ってきただけあって、よくわかっていらっしゃる。

 実は、この辺が自費出版をしている人が陥りやすい罠である。要は、自費出版をしている人達は、自分の書いたものが実に面白い、有益だと考えていて、しかし、それが何で売れないのだろうということがわかっていない人が多い。

 実はそのために、それを業務として行ってる出版社があるのだ。売れる本を企画し、ライターに書かせて、売れるタイトル、売れる造本をして、宣伝をして、広報をして、売りに行く業務がなければ、せかっく書いた本も多くの本のなかで埋もれてしまうだけである。つまり、筆者であり同時に出版社であるシェパード氏は大変なことをやっている、ということが良くわかる本である。

 こういう人なら「出版社はいらない」が、しかし、現状は大半の筆者には「まだ、出版社は必要」なのだ、ということが良くわかる。ここまで筆者がやるということは、いまのところあり得ないのだ。筆者(ライター、作家)がやらなければいけないのは「文章を書くこと」であって、それが「売れる文章であれば」もっといい、というのが出版業界の世界なのである。

 勿論、こういう人がどんどん増えてくれば佐々木氏に言うとおり「これは非常に恐ろしい本である」ということになるのである。しかし、それは何年後のことだろう。例えば佐々木氏が今年か来年にでも、オンデマンド出版か電子出版でアマゾンから本でも出せば、それはリアリティのある話になるのだが、どうだろうか。いずれにせよ、そのような状況が一部来るのは確かである。そういう時代は確実に来るだろう。

 佐々木氏なら出来るかも知れない・・・。

 あるいは、私が、このブログを電子出版かオンデマンドでアマゾンから出すかもしれない。でも、そんな本を誰が買ってくれるんだろう。

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