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2010年7月18日 (日)

現代ヤクザはドラマチックじゃないなあ

 ネタバレあり。だけど、もう公開から1ヵ月以上経っているので、もういいだろう。

『アウトレイジ』(北野武:脚本・監督・主演・製作総指揮/オフィス北野製作/ワーナーブラザース配給/2010年6月12日公開)

http://office-kitano.co.jp/outrage/main.html/

 公式ホームページで言うところの「下剋上」なら、それなりのドラマが必要だ。ヤクザ映画(任侠映画)なら、お決まりのストーリーと理不尽な上役に対する協調者がいて、最後の最後にその協調者と、勝ち目のない戦に旅立つ主人公がいて、終わればみんな自分がヤクザ映画の主人公になったつもりで肩を怒らせて映画館から出てくるところなのだ。

 だが、現代のヤクザにはそんな下剋上とか、理不尽な上役に対する闘いなんてものはない。生き残り戦争の中で、どうやったら自分と自分の組の生き残りを図ればいのだろうと、ひたすら苦悶する。そうなのだ、主人公たるビートたけしは大親分たる山王会会長の関内の子分筋にあたる池元組組長の池元の子供にあたる大友組の組長だ。

 結局、関内の悪知恵で、池元と兄弟盃を交わした村瀬組組長村瀬の間をの仲たがいをさせられ、村瀬追い落としの後は、自分の親に当たる池元を殺害させられ、自分の組の若頭である水野は殺され、結局は自分の大学のボクシング部の後輩であるマル暴刑事の片岡の元に逃げ込まなければならない羽目に追いやられるが、最後は刑務所内で以前自分が痛めた村瀬組の若頭・木村に殺されてしまうのが、この主人公の大友=ビートたけしなのだ。

 その裏側で、池元が殺されたことによって池元組組長に出世した元若頭の小沢と、関内の殺し合いを演出した、山王会若頭の加藤=三浦友和が、結局は山王会の会長に収まり、一方、マル暴刑事片岡=小日向文世は無事出世を遂げ、後輩のマル暴刑事を加藤に紹介するところで映画は終わる。片岡は多分、警部補なのだろう。そこからそれまでの刑事=地方公務員から、国家公務員に変わるので、それは権力やら退職金なども含めて大変な出世なのだ。

 つまり、この映画は、何のカタルシスもない、下剋上でもない、単なる下っ端ヤクザ組織の生き残り戦争を描いた映画なのだけれども、その中でも、ヤクザ組織のダイナミックな再編というのもないし、警察機構に対する考察というのもないし、最後のお楽しみと言うべき「勝ち目のない戦」もないし、じゃあ何なんだよ。と言ってしまえば、要は淡々と、権力組織というものはこうやって下っ端を使って、自らを生き延びさせることを常日頃から考えているものなのだ、ということと、そういった権力組織は下剋上や、勝ち目のない戦によって権力奪取が行われるのではなくて、結局権力奪取は、権力最上部の中だけで行われるという、最悪の状況が準備されているということなのだ。

「革命なんて起こるわけないじゃないか」ということなのか。

 この、なんとも後味の悪い終わり方は、しかし、実際のヤクザ組織もそんなものだろうと思わされてしまう。と同時に、政治組織も、会社組織も、団体組織も、およそ「組織」という名前でよばれるような組織には、組織の実態として、そういうものだろう、つまり「トカゲのシッポ切り」という風に理解させられてしまう強制力がある。

 たしかに、マル暴刑事も含めて宣伝文句通り「みんな悪役」である。しかし、みんな悪役だとしても、これじゃあ、クエンティン・タランティーノだって我慢できないよ。タランティーノなら、もう少し観客にサービスするのになあ。

 でも、これがヤクザとマル暴の実態なのか。

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