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2010年7月24日 (土)

鯨肉はそんなにおいしくないんだけども、だからといって食べてはいけないなんてことはない

 出るべくして出たというか、このタイミングを狙って出したというべきか。

『イルカを食べちゃダメですか? 科学者の追い込み漁体験記』(関口雄祐/光文社新書/2010年7月20日刊)

 筆者は1996年6月に水産庁の非常勤職員としてイルカの現地調査などのために太地に初めて行き、イルカの行動学をめざして追い込み漁の漁船に乗せてもらうようになり、その後、数年間にわたる太地とそこの漁民との付き合いが出来たという。「追い込み漁」というのは"THE COVE"でも撮影されていたが、数隻の漁船でイルカを小さな湾に追い込み、イルカが湾に逃れたすきに湾に網をかけて逃げられないようにして、捕まえるという漁の方法であり、漁船が銛でイルカを捕まえる、我々が南氷洋で捕鯨をする大型捕鯨船のようなやり方とは違った捕鯨の方法である。こうした捕鯨方法ならイルカショーなどに出されるような生きたままで捕獲することも可能であり、近年ではこうした「生きたままの捕獲」が増えてきたために、こうした「追い込み漁」が太地では普通になってきているそうだ。

 太地と言えば、我々はC.W.ニコルの書いた『勇魚』(いさな/鯨類のこと)という古式捕鯨法の世界でよく知っているが、いまはこうした古式捕鯨法はとらないそうだ。要は、こうした大型の鯨は日本近海では現在は捕獲しておらず、近海漁はイルカなどの小さな鯨類だけのために、それらの生け獲りのためには「追い込み漁」と言うことだそうである。

 ところでイルカ(鯨)食というのは日本の固有の文化なのであろうか。"THE COVE"の中でも、街角インタビューで「えっ、イルカ食うんですか?」といったおかしな反応を示す人がいた。『勇魚』なんていったってそんなもの読んだことも聞いたこともないような若者(バカ者)だけの反応ならまだわかるんだが、中年の女性が同じような反応を示したのには驚きである。彼女たちは、自分が小学生の時に給食で鯨の竜田揚げを食べたことはないのだろうか。あるいは鯨のベーコンを食べたことはないのだろうか。昔(といっても戦後の数十年だから、そんなに昔というほどではない)、代用肉ということで、牛や豚の肉が手に入りづらかった時代に、我々はおおいに鯨肉を食べた。まあ、ちょっとクセがあって、あまりおいしいとい感じはなかった。数年前に久しぶりに食べてみようかと渋谷にある鯨の専門店にいったが、やはり昔の小学生時代の思い出が蘇っただけで、あまりおいしいものではなかった。

 ということは、鯨食というのは、多くの日本人としてはあくまでも「代用肉」としてのあり方であり、日本の固有文化ということではないのだろう。しかし、この太地という地域ではその歴史的背景からいっても地域文化として、鯨食、捕鯨といものがあるのだろう。また太地の人々も、別に太地の文化を他の地域の人々にまで押しつける気もないようだ。「俺らは、鯨を食べることをだれにも押し付けない。食べたい人が食べてくれればそれでいいんだ」というのが太地の人々の考え方だそうだ。それを他所から来た人たちにあれこれ言われたくない、という気持なのだろう。

 つまり反捕鯨派の論理は既に破綻しているのだ。鯨を食べてはいけないのなら、牛や豚だってだめだろう。牛や豚は「食べられるために飼育されている家畜」だから良い、というのなら鯨とおなじ野生のシカやウサギはどうなのだろう。あるいは、イルカや鯨は知性的な動物だから殺してはならない、というのなら牛や豚に知性ないというのだろうか。要は、単に感情的な理由のみで鯨を殺すことを忌み嫌っているだけである。

 関口氏はその第6章に書く「文化を破壊することは、何人も意図的にしていいことではない。他の動物の生存よりも絶対的に人が優先されなければならない。鯨が賢いからという理由で守らねばならない理由が成り立つなら、何物にも増して守らなければならないのは人である」と。更に「たとえ狩られる可能性があっても、その人生をまっとうしたい。食べられるために、生きていくのはご免だ。それでも、自分の命を紡ぐために他の命を逆に頂かなくてはならない。これは逃れることのできない生きものとしての定めであり、命の循環のひとつである。機械化や清潔感で隠すことはできないのだ。野生動物を狩ることは野蛮で、家畜をシステマティックに食肉処理することが”現代的”だなんて、だれにもきめることはできない。ただ、そのために感謝して、頂くしかないのだ」と。

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コメント

まあ、取り敢えずイルカや鯨については、絶滅危惧種にはなっていない、というかなってたら「食べちゃいけない」なんてものじゃないでしょう。また、生存数とその種が増える状況をにらみながら、捕獲数を決めているようですが・・・。

絶滅が危惧されている動植物を守るのも必要ではないでしょうか?
イルカも種類によっては危ないですね。

大学生の時日本橋の和食レストランで食べた鯨の尾の身の刺身はとても美味しかったですよ。
勤めだしてから飲み屋で食べた鯨ベーコンは不味かったけど。
捕鯨禁止以前の話ですが。

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