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2010年6月18日 (金)

『ヒルクライマー宣言』って、高千穂遥ってバッカじゃね?

 サイクルスポーツ(ロードレーサー)の世界にはいろいろのタイプの脚質をもったライダーがいて、それぞれがそれぞれの立場で活躍する場所があり、それでチームが構成されている。

 中でも一番華やかなのが「スプリンター」であろう。何しろ200kmを走るレースで最後の1kmだけ勝負する人なのである。おまけに、彼が勝負するに当たっては、それまで「列車」を組んでいたアシスト選手が数人いて、そのアシストがかわりばんこに首位に立ち、最後の最後、500m位がスプリンターの本番の勝負どころなのである。その代わり、何しろ平地で70km/h位のスピードで、押し合いへしあいしながらよそのチームのスプリンター同士との戦いを繰り広げる。一番有名なのはもう引退してしまったが、イタリアの伊達男マリオ・チポッリーニであろうか。なにしろ、罰金覚悟で筋肉ジャージを着たり、ポマードべったりのヘアスタイルで走ったり、体もでかいし、筋肉モリモリである。おまけにいい男。

 で、そのスプリンターのお膳立てをするのが「ルーラー」という選手たちで、とにかくひたすら200kmの間、プロトンを引きまくり、ボトルを取りにいったり、マイヨジョーヌやマリアローザの風除けをしたりしながら、最後はスプリンターの影になって後ろのほうでアウトフォーカスになりながらガッツポーズをしたりする写真が雑誌に載ったりする。ただし、こうしたルーラーの中で、たまたまその日トップ引きをしたのがプロトンとあまりにも離れてしまって、最後までプロトンに追いつかれなくて、「今日はもう逝ってヨシ」となった場合は「ルーラー」転じて「パンチャー」となって、着に絡んでしまう場合もある。「茄子 アンダルシアの夏」の主人公ペペ・ベネンヘリとか、今年のジロの第5ステージの新城幸也みたいなもので、これはもうめっけものの勝利だ。勿論、勝てば目立つ。「今日は俺の日だっ!」てなもんで。

 新城は3位だったけど。

 で、こうした目立つスプリンターにはなれない、どちらかと言えば貧相な体形の選手がなるのが「クライマー」である。このクライマーというのは、読んで字の如し、ひたすら「上り坂」を上るだけの選手である。つらいのである。もうこんな坂上りたくないよ、というような坂をひたすら上るのである。坂は、上っても上っても続くのである。おまけに、坂道だから途中で休んだら、もう上がれなくなってしまうのだ(まあ、レースの最中に途中で休むやつは、草レース位しかいないが)。なんで、こんなつらいことやってるんだろう。なんで、やめたくてもやめられないんだろう。などと考えながら、ひたすら上るのであります。体は貧相だが、しかし、貧相だからこそ、彼は上れるのである。つまり、スプリンターみたいな筋骨隆々だと、その筋肉が重くて上れないのである。貧相な方が、貧相ゆえに、余計な筋肉がついていないで、上れるのである。勿論、このジャンルのスターはこれも既に引退してしまった(というか死んでしまった)、ミスター・ドーピングことマルコ・パンターニだろう。貧相ついでに髪の毛まで貧相だったけど。

 で、こうした「上りだけのレース」というのが、今、日本では盛んに行われている。いわゆる「ヒルクライム・レース」というこのジャンル、要は峠の上り部分だけをつかった10kmから20km位のレースであり、しかし、上りだけなので、レースといっても実業団レベルでも30km/h位の比較的低いスピードなので安全という理由から、全国いたるところで開催されており、多い日には2~3箇所位で開催されていたりする。おまけに交通量の少ない峠道でやるレースなので、長距離の公道を塞ぐようなロードレースに比べると、比較的道路使用許可がおりやすい。

 当然、レースは峠の上りだけ。大体優勝する人で40分から1時間位でゴールである。しかし、そのレースの間中すべて「上り」なのである。つらいのである。なんでこんなレースに出てしまったんだろう、なんてことを考えながら走るのである。途中で休めないのである(休むやつもいるけど、私みたいに)。自分でエントリーしていながら、である。馬鹿ですねぇ。ヘタレのクセして。

 こんなレースにハマッてしまった小説家・高千穂遥は本当のバカである。おまけにヘタレの為の自転車レース入門編『ヒルクライマー宣言』(小学館101新書/2010年6月6日刊)なんて本まで書いて。あ、本書くのは彼の仕事なのだからまあいいとして、しかしヒルクライマーだって。あんな、ツラいことをねぇ。よくやりますねぇ。本当、坂バカってやつはねぇ。

 特に、中高年から自転車始めると、ハマるんですよね。この、ヒルクライムに・・・。「あの達成感がたまらない」なんて言ってね、まあ、もうすでにセックスでは達成感が感じられないような年になってしまったからね。

 そのほか、(電動アシスト)ファビアン・カンチェラーラなんてところが有名な、ただ一人きりで走りきることに生きがいを見出す「TTスペシャリスト」なんてのもいたり、峠道の下りでやたら速い「ダウンヒラー」なんてのもいる。特にダウンヒラーなんて、ツール・ド・フランスやジロ・デ・イタリアなんかだと峠の下りで100km/h位でトバしてしまう、トンでもなく命知らずの連中だ。あんな細っこいタイヤ(幅20~23mmです)で100km/hですよ。100キロ。

 実は私はダウンヒラー。といっても100km/hでトバすようなマネはできない。せいぜい40km/h~50km/h。でも下りは楽しいんだよ。どんどんスピードは出るし。漕がなくてもいいし、ラクだし・・・。って、でもダウンヒルを楽しむには・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・上らなければいけないのであった。

 あ、バカってのは自転車業界ではホメ言葉だからね。念の為。

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コメント

全てに同感。
笑いました。
ありがとうございました。

By 中年ヒルクライマー

う~ん。まあ、それに近い部分はあると思うけど、大きな違いは「マシンに頼るスポーツである」ということでしょう。ジョギングもシューズの話やらなんやらあるけど、自転車の世界はそれがもっとすごくて、オヤジライダーの話って、横で聞いていると要はゴルフ親父のクラブ談義みたいな調子です。本当は自分のエンジン(足と体重)が肝心なのに、それを忘れてマシン論議ばっかりしている自転車親父って、ゴルフクラブでの親父談義とまったくおなじです。
バカですね・・・って、人のこと言えないけど。

「ダウンヒラー」については想像がついていました。
ブログを読んで高千穂遥さんは、ジョギングにはまった都会人のサイクルスポーツ版の様な人でないかとも感じました。

でも本当は厳密に言うと「ダウンヒラー」ってのはいないんだけどね。登りに強い人のなかで下りのテクニックを持っている人がダウンヒラーで、登りに弱いダインヒラーってのは本来いません。だって、そんな人いたって誰も知らないもん。

自転車レースではチームの中で分業が有るのは知っていましたが、此所まで細かく分かれているとは。
筋肉の質によって短距離向き長距離向きが有る様に自転車競技も筋肉の質によって持ち場が決まってくるんでしょうね。スプリンターは陸上の短距離選手、ヒルクライマーは陸上のマラソン選手と似た体型と筋肉の質の持ち主みたいですね。

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