フォト
無料ブログはココログ

Amazonウィジェット

  • Amazonおまかせリンク
  • おすすめウィジェット
  • Kindle

« iPadで『もしドラ』(笑)を読む | トップページ | ブラック企業にもいろいろある »

2010年6月 1日 (火)

iPadで京極夏彦を読む、ウ~ム「みっしり」じゃない

 京極夏彦についてはデビュー作『故獲鳥の夏』以降、京極堂シリーズは全部読んでいる。とにかくノベルスの分厚さ(シリーズを追うごとに製本技術の限界に挑戦するように厚くなる)と、そして何といっても京極氏のこだわりのひとつでもある、<見開きが必ず「。」で終わる>(ので、文庫化に際しては、その為に書き改められている)というのが魅力のひとつであり、そこからくる1ページの「みっしり」詰まった感じが、更に京極作品の「お得」感である。

 この『死ねばいいのに』(講談社/2010年5月15日刊)でもそれは踏襲されており、京極堂シリーズのようなノベルスでなくて、四六判の本でもおなじみの「みっしり」感が京極作品の魅力の一つであることには変わりはない。

 が、今回iPad版で(電子)書籍で出版されたものにはそれがなくなてしまったのは残念だ。iPhoneでも読めるように配慮したのだろうか、小さい文字で「29字×11行」、大文字版で「23字×9行」という字詰めではこの「みっしり」感は感じられない。そんな感じを持つこともなく、どんどんスクロールしていかなければ読めないのだ。この「どんどんスクロールしていく」感じが普段の京極作品を読んでる感じと大いに異なっていて、わりと「スカスカ」感にとらわれてしまう。どうせA5判サイズのモニターを持っているiPadなのだから、四六判の本と同じように「40字×19行」で「みっしり」と文字ページを埋めて、見開きの左ページはちゃんと「。」で終わるようにしてほしかった。そうすれば京極ファンも納得の電子書籍化になった筈である。

 現状では京極氏が言うような「電子出版はテキストの出版ではなく、『版』の出版でなくてはならない」どころか、まんま「テキスト」の様態でしかない。京極氏の想い半ばというのは誠に残念でならない。ソフトウェア的にはまったく可能なことなのだが、何故iPhoneに妥協したのだろうか。実は、iPad用のアプリが少ないせいか、『死ねばいいのに』はiPad用のアプリとしてもかなり上位に属する販売実績を持っているのだ。

 まあ、取り敢えず「実験」ということで許されることかもしれないが、この結果をキチンと総括して、秋の新作品ではちゃんと「みっしり」感のある作品をiPadでも出して欲しいものだ。

 で、内容なのだが、そこはいつもの京極作品である。最初はとても小さな小さな「小状況」からスタートして、読者をどこに導こうとしているのかさえ見えなくさせて、そのあと結局は「なあんだやっぱり」というところに持っていく、が、そのあとに人の「死」とか「生」とかって何だろうと考えさせるテーマを(京極氏は意識していないと思うが)持っている。初めは、死亡した亜佐美について知りたいという、物事の道理も知らない無遠慮な青年ケンヤが、亜佐美の派遣先の部長やら、隣に住んでいる女やら、ヤクザの三下やら、亜佐美の母親やらを訪ねていく話。しかし、その段階では、まったく話の展開は見えてこない。が、突然、刑事との話の最後に突然「アサミ殺したの俺だから」というのである。話が進むにつれて真相に近づいているようで、結局はまったく近づいていないという、『故獲鳥の夏』以来の「とんでもないオチ」である。何のためにそれまでの「伏線らしきもの」があったのだろうか。そういった「伏線らしきもの」をすべて破壊してとんでもないオチを用意するという、京極作品の魅力はたっぷりある。

 ああ、やはり「紙の本」で読んでおきたかったなあ(って、後から読んだのだが)。

« iPadで『もしドラ』(笑)を読む | トップページ | ブラック企業にもいろいろある »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/549500/48517931

この記事へのトラックバック一覧です: iPadで京極夏彦を読む、ウ~ム「みっしり」じゃない:

« iPadで『もしドラ』(笑)を読む | トップページ | ブラック企業にもいろいろある »

2017年8月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

PEN PEN チョートクカメラ日記

自転車フォトグラファー 砂田弓弦

シュクレはお留守番

アローカメラ&我楽多屋

まだ東京で消耗してるの?