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2010年5月15日 (土)

ニュース・サイトって、何か変だな

 暇にまかせて読んでいる本の一つは『ヤフー・トピックスの作り方』(奥村倫弘/光文社新書/2010年4月20日刊)。

 いわく「ページビュー月間45億」「ユニークユーザー月間6970万」、つまりヤフーの営業用媒体資料によれば「来訪者数およびページビューで他のポータルサイトを寄せ付けない、日本最大のニュース配信サービス」であるのだ。その、編集責任者である奥村氏が書きおろす、「13文字のトピックスの作り方」であり、ヤフー・ニュースの現場で何が起きているのかの報告である(筈である)。

 ヤフー・ニュースは現在約150余りの報道機関や出版社などから記事配信を受けて、それらを検索し、ヤフーの来訪者に「こんなニュースがありますよ」という情報を届けている「ニュース・サイト」である。しかし、「ニュース・サイト」とは何だろうか。通信社・新聞・テレビラジオなどの「報道機関」であろうか、あるいは出版社のような「言論機関」であろうか。実際に、各社のニュース・言論を拾い上げ、仕分けして、読者に伝えるという意味では、ひろい意味でのジャーナリズムであることは間違いないだろう。

 しかし、何故かこうしたニュース・サイトを「ジャーナリズム」と呼ぶことに対する抵抗があるのは、私の年齢のせいばかりではないだろう。当然、ニュース・サイトには独自に取材をしたニュースは一切載らない。我々も、ニュース・サイトを観る際は、トピックをクリックした後に見るのは「そのニュースがどの媒体に載っていたニュースなのか」という点である。同じものを取材したニュースでも「朝日」なのか「日経」なのか「産経」なのかによって、まったく異なった扱いになることは承知の上で「それを読む」のである。勿論、そうした「どの媒体の報道を選ぶのか」という点に、ニュース・サイトの編集者の価値観が現れるわけであり、そこには「自分がシンパシーを感じる媒体はこれです」というメッセージがあるわけである。だが、そうして選んだ媒体のどれにも自分がシンパシーを持てる報道がなかったらどうするのであろうか。自分が新聞記者だったり放送記者だったり雑誌編集者だったりしたのであれば、そこで自分独自の取材を行い、自分独自の記事(ニュース)を作ればよいのである。が、ニュース・サイト編集者は自分では取材は行わない。であるならば、自分がシンパシーを持てる記事がニュースのどこにもなければ、サイトで取り扱わないだけである。当然、ジャーナリズムの中でもこうした取捨選択は行われている訳であり、ある媒体が大きな問題としてとりあげている事件が、別の媒体ではまったく無視されている、というようなことはいくらでもある。しかし、媒体の取材者の場合は自分の意志だからそれでもいいのだけれども、ニュース・サイトでそれでいいのだろうか、という疑問は残る。

 奥村氏は元々読売新聞の記者だったそうである。その取材で知ったインターネットカフェの社長の「これからはニュースが変わるよ」という話で<インターネットでニュースがやりたいという思いが強くなり、98年にヤフーに転職、以来、ヤフー・ニュースのトピックスを担当>してきたそうである。何故、奥村氏がニュース・サイトの興味を持ったのかは書かれていない。もしかして、取材がイヤになった? さておき、奥村氏同様、ヤフー・ニュースのトピックス担当者は取材記者や整理記者、編集者などを経験してきた人たちが多いようである。しかし、その経験者であるからこそだろうか<私たちもまたカジュアル化した”ニュース”の取り扱いに悩んでいる>のである。結局は、自分が取材に携われないことが一番の問題なのではないだろうか。

 ニュース・サイトで読まれる記事と読まれない記事に関して言うと、トピックスに取り上げられているジャンルはコンピュータとサイエンスのジャンルを除き各ジャンルが概ね10~20%とバランスがとれているのに比して、実際の閲覧数で見るとエンタメ、スポーツ、国内の3ジャンルで閲覧総数の60%以上を占めており、中でもエンタメが25~30%を占めている。ニュース・サイトは閲覧数によって広告収入が変わってくる。だったら、所詮ニュース・サイトなんだからその3ジャンルに特化したトピックスで良いじゃないかという考え方も成り立つのだが、しかし、<編集者は、彼の内に存在している価値観に基づいて、何がおもしろいのか何が重要なのかを判断して情報を振り分けて読者に編集物を提示>するというのである。その際の指針は「新聞綱領」であり、何故新聞がそうような「綱領」を持てるのかと言えば「戸別配達制度」があるからだというのである。この辺、いかにも読売新聞記者出身の奥村氏らしい判断だと言えなくもないが、では週刊誌のような場合はどうなのだろう。男性週刊誌の場合も大体アタマの方の特集記事は「政治・経済」である。ニュース・サイトではあまり読まれていないジャンルである。週刊誌はそのほとんどが駅のキオスクなどで売られていて、一部の新聞社系週刊誌以外は「戸別配達制度」などというものの恩恵は受けていない。でも、(少なくなったとは言え)週刊誌はその特集記事「政治・経済」で売れているのだ。何故だろうか、要はその週刊誌自体のそうした「政治・経済」状況に対する「切り口」を持っているからだ。キチンとした媒体としての「切り口」を持っていれば、マトモな神経の持ち主は「政治・経済」の記事も読むのである。新聞だって、「一面の記事は読者は読まない。あとはテレビ欄と社会面」とは言っても、実は「見出し」だけはちゃんと見ているのである。

 実は、「いやあ最近はニュース・サイトをチラ見して、あとはツイッターを追いかけてればニュースはOK。新聞やテレビ・ニュースは見ないですね」というようなネット・バカだけが、ニュース・サイトのエンタメ・ニュースばっかり見ているというような構図が見えてこないか。

 そんなことだからネットには「ジャンクフード・コンテンツ」ばかりになるのである。

 要は、自分のところで一切取材を行わないニュース・サイトが、あたかも自分自身が「ジャーナリズム」であるかのように思いこんでいる「間違い」がこのようなイビツな<ジャーナリズム状況>を招いているのだ。

 奥村氏のように、元々別の媒体で取材・編集の経験を持っている人が、こうしたニュース・サイトも編集者になっている現在の状況はまだよい。今後、初めからニュース・サイトで仕事を始めて、いつの間にか自分がいっぱしのジャーナリスト気分になってしまうような輩が出てくるようになると、もはや日本のジャーナリズムもおしまいである。

 そんな気にさせる、「良い本」ではあった。

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