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2010年5月16日 (日)

第三信号系って・・・ヨタでした

 5月13日に書いた「第三信号系」って何だ、というのが気になって、いろいろ調べてみた。

 取り敢えず、辿り着いたのがパブロフの理論である。つまり、第一信号系としての「反射」と第二信号系としての「条件反射」ということ。しかし、ここから判断するに、この理論から「第三信号系」という概念は生まれそうにない。とくに「写真」の世界に応用できるようなものはまったくないのだ。

 次に辿り着いたのが、ソシュールの言語記号論である。5月13日にも書いたようにモーリス・メルロ=ポンティの『眼と精神』が出てくるとなると、少なくともパブロフよりはソシュールの言語学の方が近い概念が分かるかもしれない、ということである。

 そこに出てきたのは<第三信号系:言葉的概念によって分解された現実的個物または個別的事象の相互の関係を表すことのできる言葉:信号の信号の信号>という言葉であった(渡辺豊和著『記号としての建築』昭和堂/1998年刊)。

 実は、記号論とか現象学というジャンルは適当な日本語訳がなくて(「世界内ー存在」とかね)、ソシュールやメルロ=ポンティ、ロラン・バルトなどの著作の日本語版は本当に「悪文」の典型みたいな文章が並んでいるのであるが、上記の渡辺氏の文章もその一つで、これでもって「第三信号系」が何かが明解に分かる人がいたらたいしたものだ。つまり<第一信号系:言葉的概念:信号><第二信号系:言葉的概念によって分解された現実的個物または個別的事象:信号の信号>となって、上記の<第三信号系>に辿り着くのだろうけれども、はたして言語学的な意味における<第三信号系>にそれで辿り着けたとしても、「写真の見方」としての「第三信号系」に辿り着くためには、もうひとつの考察が必要になる。

 それはどういうことだろうか、と考えているところにかんじんの田中長徳氏自身が書いている「第三信号系」という言葉にやっと(というほどでもないけど)出会った。『カメラは知的な遊びなのだ』(田中長徳著/アスキー新書/2008年3月25日刊)のあとがきに曰く。

 少し長いが、以下引用・・・

 もう1つ提案したいのが、写真の「第三信号系」に目覚める訓練です。

「第一信号系」とは、パスポートの証明写真とか新聞の総理大臣の顔写真のような、「それが何であるかの説明写真」。「第二信号系」とは、雑誌のアイドルのグラビアとか、スポーツ新聞のヒーローの写真のような、ある社会的価値を伝達する画像のことです。

 さて、ここで言う「第三信号系」とは、それら2つの写真の効用を完全に超越した、さらに上のステージの写真のことです。今まではこれを芸術写真と呼んでいたようですが、芸術写真が死語になった現在、何か新しい術語が必要です。仮にこれを「第三信号系」写真と名付けましょう。あるいは画像の形而上学的な認識と言っても良いかもしれません。

 以上、引用終わり。

 何だ、5月13日に私が想像で書いた「第三信号系」に関する解釈の通りで良いのじゃないか。要は、写真としての実用性とか効用とかと関係なく存在する写真、でも芸術とか呼ばれるような写真じゃない写真、写真そのものとしての写真、それが「第三信号系」の写真であり、そういった写真に向かおうとする精神が「第三信号系のカメラアイ」ということなのか。要は、普通の「なんてことのない写真」が「第三信号系」の写真であり、それが「何か芸術的な感興を呼び起こすかもしれないし」「どうってことのない写真だ」で終わってしまうかもしれないし、そうした写真の見方が「第三信号系のカメラアイ」ということなのだ。

 ということは、チョートクさん、それをわざわざ「第三信号系」なんて訳のわからない術語を使うというのは「ヨタ」ですか。要は、記号論や現象学や言語学や構造主義の用語のほとんどが、読者をして言葉の理解から遠ざけるための「ヨタ」のようなものだと同じ意味で。

 ウーム、そんな「ヨタ」を真面目に受けてしまった島尾伸三氏も島尾氏だが、チョートクさんも罪が深い。

 とまあ、「語り下ろし」というお手軽に作られた「アスキー新書」を読みながら考えたのであった。しかし、こういうお手軽新書が、うまく当たれば私が買った本のように第5刷まで行ってしまうのだから、やっぱり出版は甘い商売なのか?

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