フォト
無料ブログはココログ

Amazonウィジェット

  • Amazonおまかせリンク
  • おすすめウィジェット
  • Kindle

« 別に小沢支持じゃないけど・・・変だよ検察審査会 | トップページ | 上海万博から日米同盟離脱まで考える »

2010年4月29日 (木)

先物取引会社って面白い?

「思えば、面接からしてキョーレツな会社だった。」という書き出しから始まる最初の章は、「これが先物だよ。生き馬どころか、走る馬の目を抜くんだ」という社長の言葉で終わる。この妙に面白い小説の魅力は、何といってもこの「先物取引会社」という私たちが概念だけで知っているようで、実はよく知らない世界を描いているところである。

 テキストは『サキモノ!?』(斎樹真琴/講談社/2010年4月21日刊)である。『地獄番 鬼蜘蛛日誌』で第三回小説現代長編新人賞をとった著者の『十四歳の情景』に続く3つ目の長編作品である。しかし、先行する2作とは少し世界が異なっていて、もしかすると斎樹氏自身の体験なのかもしれない。先物取引の会社という世界はまさに軍隊系というか体育会系というか、新入社員の人権なんて全く考慮されていない世界であり、金を持ってくる人間だけが価値があり、金を引っ張ってくるために終わりのないテレホンアポイント(見込み客探し)が続き、プッシュ(見込み客への電話営業)が続く。そんな中に新卒社員として飛び込んだ主人公・青木照子の1年間を描いた作品である。

 まあ、多分他の会社のすべてに内定が取れずに先物取引の会社に飛び込んだのだろうが、基本的にその社会には批判的な目を持ちながら、以外とその社会に溶け込んでいる主人公って何だろう。父親の事業の失敗がそのバックボーンにあるのだろうか、結構けなげに先物取引営業という仕事と取り組んでいる。

 先物取引ではないが、不動産投資の電話営業が私の会社の電話にはよくかかってくる。しかし、そんな電話の相手をしたことはまずない。ほとんど、不動産投資の話だと分かったとたん「興味ありません」といって電話を切ってしまう。ことほど左様に電話営業なんて効率の悪い仕事であるのだから、それが先物取引と分かったとたんに、まずほとんどの電話は切られてしまうだろう。でもあきらめずに何度も何度も電話をかけ続ける主人公たち。おまけに見込み客をつかまえられない間は、椅子に座ってもいけないという規則。これが朝から夜まで続くのだ。さらには「飛び込みセールス」の日もある。こうして日本の営業マン(ウーマン)は育てられていくのだなあ、と思いながら読んで行く。

 勿論、こうした生活に耐えられなくて辞めていく人は多い。主人公が努める「魁コモディティ」も9か月の間に同期入社が半分は辞めていく。新入社員だけではなく、前からの社員も辞めていく。当然社員は少なくなる。そうすると中途入社の社員を入れる。勿論、この人たちも辞めていく。と、その頃、次の年の新入社員が入ってくる、という回り方で会社が保っているのであろう。

 作品の最後は照子と同期入社の萩原との会話。

「来年の今頃も、無事に生きていたいね」

 予想はしていたけれども、先物取引会社ってこういう会社なんだ、という面白さがあった。ただし、こういう会社に勤めたくはないけどね。

« 別に小沢支持じゃないけど・・・変だよ検察審査会 | トップページ | 上海万博から日米同盟離脱まで考える »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/549500/48217936

この記事へのトラックバック一覧です: 先物取引会社って面白い?:

« 別に小沢支持じゃないけど・・・変だよ検察審査会 | トップページ | 上海万博から日米同盟離脱まで考える »

2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

PEN PEN チョートクカメラ日記

自転車フォトグラファー 砂田弓弦

シュクレはお留守番

アローカメラ&我楽多屋

まだ東京で消耗してるの?