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2010年4月 6日 (火)

「ハート・ロッカー」は棺桶という意味

『ハ-ト・ロッカー』というのは、「行きたくない場所」つまり「棺桶」という意味なのだそうだ。つまり、この映画『ハート・ロッカー』(キャスリン・ビグロー監督/マーク・ボール脚本)は、そんな「棺桶」みたいな場所に好き好んで行った兵士の話なのだ。

 アメリカは、ベトナム戦争以後徴兵制度をやめた。いまの米軍兵士はすべて志願兵で成り立っている。つまり、この映画で描かれている湾岸戦争の後のイラク駐留米軍は、すべて志願兵である。この辺が、ベトナム戦争映画と異なる部分だ。つまり、主人公ウィリアム・ジェームズ2等軍曹は、要は行きたくてイラクに行った兵隊である。同じく、一緒の中隊にいるサンボーン軍曹、エルドリッジ技術兵も同じく志願兵ではある。

 でも、彼らがどんな理由で軍隊に入ったのかは語られていない。一つは経済的な理由だろう。軍隊にはいるのが、家の経済状態をいい方に変える一番簡単な方法だという。もうひとつは政治的というか単純な「国を守りたい」という意識なのかもしれないし、まあ日本の自衛隊と違って、ないと思うけど軍事ヲタクだったりして。

 しかし、結局は「~中隊。任務終了明けまであと○○日」という、残り任務の日程が示されるような日々なのである。それが戦争の実態なのだろう。特に彼らの仕事は「爆発物処理班」という、一般的には「日蔭の仕事」であるのだ。しかし、自衛隊の爆発物処理班なら、ほとんどが第二次世界大戦の頃の米軍の(一部日本軍のもあるが)落とした爆弾の不発弾処理であるのだけれども、イラク戦争のさなかの米軍の爆発物処理班の仕事は、まさに「今戦っている最中の」爆発物処理なのである。つまり、戦争は終わってるが、それだからこそ戦場はどこにもあるし、どこにもないという状況の中で、テロも含めた戦いの中にいるのだ。

 戦場はどこにもないし、どこにでもある、という状況の中におかれた軍隊とはどういう状況なのだろうか。戦線というものはない。いまいるすべての場所が戦場、ということなのだろう。ベトナム戦争の時のように、「前線から帰ってきて、取り敢えずコニャック・ソーダを飲む」なんて贅沢はないのだ。とにかく、すべての場所、すべての街、すべての村が戦場なのである。米軍兵士にとって心が安らぐところは「基地の中」、つまり、米軍に守られている場所でしかないのだ。そんな場所では、彼らもアメリカ人をやっている。といっても、要は男同士の世界だから「殴り合い」の世界である。男ってこんなくだらないことで、慰め合っているのであります。別にそこで男色話があるわけではないしね。ジェームズ軍曹も、DVD売りの少年、ベッカムを探すためにイラクの街に行く際も、ベールをかぶっていかなければならないほどの緊急体制なのであります。まさに、戦場はどこにもないし、すべてが戦場なのである。

 最後に、ジェームズ(軍曹/家に帰っちゃたら軍曹でもなんでもないからね)が、子供と話をする部分、何だろう。「守るべきものは2つ・・・、いや1つ」って何だろう。多分、二つは「家族と国」だろう、で「一つ」は・・・「国」と言いたいんだろうな。別に、ウサマ・ビンラディンはまだ捕まっていないし、イラク(???アフガニスタン)を攻める理由はいくらでもあるし。その辺の「家庭にはもはや収まりきれない」いらだちというか、あきらめのようなものが、スーパーで妻から言われたシリアルを買う部分で見られる。もうどうだっていいじゃんかよ、という気分。

 ということで、ジェームズ氏は再びイラクに行くのである。映画の最後に出てくるテロップ「ブラボー中隊 任務明けまで あと365日」という。

 戦争中毒というものがあるのだろうか。確かに、生死の境目を毎日目の前にしていると、そうした状況が当たり前になってしまい、そうした状況の中にいないと落ち着けない人間になってしまうことはあるのだろう。特に、生死の境目に近いところにいた人間であればあるほど。

 つまり、ジェームズ軍曹はそんな「戦争中毒」の人間なのだ。こんな、戦争中毒者を作ってしまったのは誰なんだ、といっても無理なことであろう。要は、アメリカという国・体制が作ってしまっただけなのである。ドキュメンタリーフィルムを思わせる手持ちの不安定なカメラアングルで描かれた「戦争中毒者」。

 ところで面白かったのは、ジャームズが爆弾から外した電気部品をコレクションしているのだが、それを見たサンボーンが「こんなガラクタ」と言っているようなスーパーが入るのだが、台詞を聞いていると「Radioshack」と言っているのだ。なるほど、こういうところで使われるくらいRadioshackは有名なんだなということである。これは自転車ヲタクだけの反応。

 

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