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2010年3月15日 (月)

森村泰昌・なにものかへのレクイエム

 東京都写真美術館で『森村泰昌・なにものかへのレクイエム」(5/9まで開催)を見に行く。

 森村泰昌と言えば、ゴッホの自画像や、モナリザ、マリリン・モンローなどのフェイク(偽物)・セルフポートレイトで有名なパフォーミングアーチストである。今回は全4章に分けて、第1章「烈火の季節」では、三島由紀夫の『薔薇刑』のフェイクや暗殺されるリー・ハーベイ・オズワルドやアインシュタインなどのフェイク。第2章では「荒ぶる神々の黄昏」と題し、毛沢東、ゲバラ、(ロバート・キャパが撮影した)レオン・トロツキー、レーニンの演説の動画像、そしてヒトラーの動画像によるパロディなどがある。ただし、ヒトラーのフェイクは、もともとチャールズ・チャップリンがパロディしたヒトラーのフェイクというの二重構造のフェイクである。

 そして、本展で初公開される第3章「創造の劇場」ではピカソ、デュシャン、ダリ、クライン、ウォーホルなどを動画像ですべてフェイクを行い、第4章では「1945・戦場の頂上の旗」では歴史上の大きな分化点となった、昭和天皇とマッカーサー元帥の対面や、タイムズスクエアの戦勝記念パレードに加え、一番大きな展示となったのは「硫黄島の星条旗」である。つまり、クリント・イーストウッドの映画で有名なやつね。アメリカではアポロの月面着陸の際にも同じ場面がパロディされていたことを覚えている。

 人物のフェイクを通して20世紀を語ろうとする森村の意志はよくわかる。たしかにこの第1章から第4章までで、20世紀の最初の大きな世界騒乱「ロシア革命」から「第二次世界大戦」までの動きがすべて示されていて、芸術家の仕事としては十分なのかもしれない。

 しかし、歴史の方から見ると、やはり何かが足りないのだ。そう、ヤルタ・ポツダムの面々、チャーチル、トルーマン、スターリンである。1945年以降の世界の趨勢を作ったこの3人が登場しないのは、やはり物足りない。この3人がいたからこその冷戦であり、新世界秩序であり、この3人に蒋介石を加えれば、東南アジア、アフリカの独立である。

 別に、トロツキーを演じてしまったからスターリンはなあ、というほどのものでもないでしょうから、やはり見たかった。それでこそ、20世紀の「戦後」が完成するというのに。

 結果として、一番目立ったのは、2階と3階の間の壁に映されていた三島由紀夫の自衛隊市ヶ谷駐屯地演説の動画像である。もはや、この作品における森村は三島になんか似ていない。しかし、演じている姿、演じている内容、これらを観れば完全に三島のパロディだと分かるし、話している内容は全く三島演説とは関係ない内容である。

 時間がなくてあまりこの三島演説をじっくり観られなかったんだが、この三島演説だけのために、もう一度観に行こうかなと考えている。

 

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