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2010年2月 4日 (木)

戦争の実相にどれだけ近づけるか?

「歴史に学ぶ」という言葉がある。かつての歴史を学んで、同じような過ちを犯さないようにする、という意味であろう。

 しかし、そのようにして学んだ歴史も、結局はその体験してきた人によって異なる歴史となり、それら多くの異なる人にとっての歴史の中から、何を選んで「今」選択しようとするのかによって、新たな歴史が生まれる。その結果、その歴史は反省の多い歴史になってしまうのか、あるいは実りの多い歴史になるのか、それはわからない。アメリカの歴史家、アーネスト・メイによる三つの命題によれば・・・

①外交政策の形成者は、歴史が教えたり予告したりしていると自ら信じているものの影響をよく受けるということ。

②政策形成者は通常、歴史を誤用するということ。

③政策形成者は、そのつもりになれば、歴史を選択して用いることができる。

 ということだそうである。

 結果、ベトナム戦争はそうした歴史の誤用の代名詞になってしまったし、イラクやアフガニスタンでの戦いも、そうした部分に踏み込んでいる。それは何故なのか?

 テキストは『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(加藤陽子著/2009年7月/朝日出版社)である。12月20日で11版なので売れているのだろう。

 神奈川の栄光学園という中高生向けの講義をそのまま本にしたものなので、若干話は前後しながらではあるものの、論文などよりはわかりやすい言葉で書かれている。序章の「日本近現代史を考える」という総論的な部分を除けば、日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、満州事変と日中戦争、太平洋戦争という日本がこれまで行ってきた戦争についての講義録である。第二次世界大戦後の戦争。朝鮮戦争やベトナム戦争、イラン・イラク戦争、アフガニスタン問題などへの日本の関わり方、についての記述がないのがちょっと残念であるが、まあ、日本が主体的に関わってきた戦争という意味では、適切なものなのだろうが。後2者には日本も出兵しているのだから、気にはなるが。

 主に戦争指導者たちが戦争にどのように関わってきたのかについて、史料を駆使しての講義で、なかなかに興味はあるのだが、やはり大いなる興味を持って読んだのは「第4章 満州事変と日中戦争」と「第5章 太平洋戦争」であろう。それまでの日清・日露・第一次大戦は基本的には日本は勝ち戦だったわけで、それまでなんとなく「それいけドンドン」でやってきた日本が初めて負けて「無条件降伏」をせざるを得なかったのだから。この本も、はじめの3章までは言ってみればこの第4章、第5章のためのプロローグである。さらに、第3章までは「地政学」がなくて、現在、戦争を考える際にもっとも援用されるこの学問的見地がないのが不満に思いながら読む進んでいたが、第5章になってやっと地政学的な見方が入ってくる。

「ドイツの国防軍などは日本軍を馬鹿にしていました。第一次世界大戦で総力戦の血の洗礼を受けてこなかったわけですので。けれども、その態度を劇的に変える。日本は、やはり地政学的に見てソ連に対する天然の要害(要塞)だったからです。~ここで大事なのは、ドイツが中国を捨てたことです。~日独の接近は中国とソ連の接近をもたらす。その裏面には、共産主義をどうするかというイデオロギーと地政学があった。持久戦争を本当のところで戦えない国であるドイツと日本であるからこそ、」アジアとヨーロッパの二ヵ所からソ連を同時に牽制しようと考える。アジアの戦争である日中戦争が第二次世界大戦の一部になってゆくのは、このような地政学があったからです。」

 という具合に、ここの部分だけ「地政学」が出てくる。たしかに、地政学は「戦争をするための学問」だから、それを使って戦争を語ることはいけないことなのかもしれないが、地政学を使うと戦争の力関係がすぐにわかるようになるのも事実である。まあ、中高生向けの講義ということなので、地政学を用いなかったのかな。

 ともあれ、資源もない、食料も少ない、工業力も枯渇することは見えている、それでも、日本人は「戦争」を選んだのかがよくわかる本である。

 それでも反省をしない、日本人。

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