フォト
無料ブログはココログ

Amazonウィジェット

  • Amazonおまかせリンク
  • おすすめウィジェット
  • Kindle

« カツマーvs.カヤマーだって? | トップページ | 岡田会通信②あけましておめでとうございます »

2009年12月30日 (水)

「戦場にワルツを」にアカデミーを、と言っては?

 映画「戦場でワルツを」(原題:WALTZ WITH BASHIR/2008年/アリ・フォルマン監督)を観た。

 PTSD(戦闘ストレス反応)にかかり、戦場で殺した26頭の犬(何故、人間じゃないんだろう)に襲われる悪夢に悩まされている友人の話を聞くうちに、自分自身のその頃の記憶が抜け落ちていることに気がついた主人公(監督自身?)が、抜け落ちた記憶を取り戻そうと、1982年のイスラエルによるレバノン侵攻に一緒に従事した仲間のもとを訪ねる話だ。

 しかし、たずねてもたずねても、彼の脳にフラッシュバックするのは「照明弾が降るホテル街が見えるベイルートの海岸に全裸で漂う主人公を含めた3人の兵隊」のイメージだけであり、バシール暗殺とその結果起こったサブラ・シャティーラの虐殺のイメージは出てこない。確かにそれを目撃しているはずなのに。結局、パレスチナ難民キャンプの入り口で見た、両手を挙げてこわごわ出てくる難民たちの姿から、彼の両親がアウシュヴィッツにいた頃の、「生まれる前の記憶」に辿り着く。

 ユダヤ→アウシュヴィッツ→イスラエル→パレスチナと巡る旅の中で、加害者でありながら被害者だった、被害者でありながら加害者でもある、という現在のイスラエルの状況が見えてくる。単なる(と言ってしまうには余りにも奥が深いが)「宗教対立」ばかりでない、中東の現実が見えてくるのだ。

 アリ・フォルマンは、別にその問題について答えを出しているわけではない。しかし、永久に終わらないとも思える中東問題について、「ユダヤの立場でもない、アラブの立場でもない」ところからの問題点、つまり「心の問題としての戦争」ということを指示している。

 もうひとつ、この映画がアニメーションという方法によって作られているということがある。まあ、ドキュメンタリーとして作った場合、あまりにもありきたりの作品になってしまう恐れがあるし、実写劇映画として作るとなると、製作費がかかりすぎる。そこで、一番この主題を扱うのに相応しい方法として、アニメーションを取り入れたのだろう。面白いのは、あたかもロトスコーピングで作ったようなインタビュー部分と、一部3Dも取り入れた「お話」部分のかなり飛躍したアニメーションである。

 日本にも、「アニメンタリー」だったか、「ドキュメンテーション」だったか忘れたが、ドキュメントとアニメーションを両方取り入れた考え方があったが、この作品のようなものではなかったと思う。

 アニメーションで描かれた戦争映画ではあるけれども、アクションではない。その動きは3Dの使い方も含めて押井守的なアニメーションを想像してしまう。「言葉(台詞)の過剰」も押井的であるし、テーマを除けばまるで「イノセンス」を観ているような気になってしまいます。まあ、押井の方がよっぽど好戦的ですがね(観念的な話だけど)。

 アメリカ映画にも、ベトナム戦争物でPTSDを扱った作品は多くあるが、中東戦争でこうした作品は、不勉強ながらも観たことはない。基本的にはイスラエル側に立った劇映画か、アルブ側に立ったドキュメンタリーばかりだろう。

 中東戦争映画という意味でも新しい捉え方であるし、アニメーションという観点から見ても、なかなか面白い見かたができる作品である。

 アカデミー外国語映画賞を「おくりびと」と争い負けた「戦場でワルツを」だが、まあ、ノミネートするところまでがアメリカ映画アカデミーの「良識」なのかもしれない。

 なにせ、「赤狩り」に対する反省もないし、ユダヤ人が資本を支配し、イスラエル批判を許さないアメリカ映画アカデミーだからね。

« カツマーvs.カヤマーだって? | トップページ | 岡田会通信②あけましておめでとうございます »

映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/549500/47155129

この記事へのトラックバック一覧です: 「戦場にワルツを」にアカデミーを、と言っては?:

« カツマーvs.カヤマーだって? | トップページ | 岡田会通信②あけましておめでとうございます »

2017年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

PEN PEN チョートクカメラ日記

自転車フォトグラファー 砂田弓弦

シュクレはお留守番

アローカメラ&我楽多屋

まだ東京で消耗してるの?